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営業日報 #2 『ジン』

  • 執筆者の写真: 神輿ぃ
    神輿ぃ
  • 2019年1月18日
  • 読了時間: 12分

皆さんこんばんわ!

Booze Cafeの仮面の人〈神輿ぃ〉です!

本日もご来店ありがとうございました!


さて!今週皆さんにご紹介したのは



『ジン』でした!!



説明することが多くて少し省いた部分もあるので

その辺も詳しく解説していきたいと思います。

本日の営業日報です!




『ジン』について


さて、ジンについてですが…


・アルコール度数が高い

・種類が多い

・飲み方が分からない

・飲めなさそう(飲んでも美味しくなさそう)


等々のイメージがあると思います。


日常生活の中では、なかなか馴染みのないお酒かもしれませんね。


ですが!!

実はそのポテンシャルは非常に高く、お酒に対する経験値が少ない方から豊富な方まで幅広い層の方が美味しく飲めるお酒なんです。



では改めてプロフィールを見ていきましょう!





・どんなお酒?


ウォッカ、ラム、テキーラに次ぐ、世界四大スピリッツの一つです。


スピリッツ”とは

平たく言えば「蒸留酒」のことです。(詳しくはコチラ


その原料や製法は国やメーカによって様々ですが

多くの場合、原料にはトウモロコシ・大麦麦芽・ライ麦などを使用します。

それを糖化・発酵させて蒸留器を用いてグレーン・スピリッツと呼ばれるものを生成した後、ジュニパーベリー等の香味原料で香味づけしたもの…


それが『ジン』になります。



<+@Tips!>

動画内では、『ジンはその歴史の中で「ジュネバ」と呼ばれていた』とご紹介しましたが、実は現在でもオランダ産のジンは「ジュネバ」と呼ばれています。


ジュネバ」は他のジンと比べて香味が強い為、カクテルベースにして飲むよりも冷凍庫などでキンと冷やして、ストレートで飲むのがオススメです。





・生まれ故郷は?


1660年にオランダで生まれました。


同国の名門であるライデン大学の当時の医学部教授であったフランシスクス・シルビウス博士(本名:フランツ・ド・ル・ボエ)という男が、熱病に効く特効薬の開発を始めた所からストーリーが始まります。


シルヴィウス博士は、当時利尿作用の効能があると言われていたジュニパーベリーに目を付け、それらの材料をアルコールに浸漬(しんし)して蒸留することで特製の”利尿剤”を開発することに成功しました。

彼はこの薬に「ジュニエーブル(フランス語でジュニパーベリーの意)」という名前をつけ、それらは国内の薬局等で売り出されはじたのです。


そう、これこそ今に伝わる『ジン』というお酒の原型です。



<+@Tips!>

実は17世紀中盤のヨーロッパではアルコールを飲むという文化はあったものの、蒸留酒を飲むという文化はそれほど根付いてはいませんでした。

勿論全くの飲まれなかった訳ではありませんが、当時の蒸留酒と言うと簡易的な構造のポットスチルなどを使用した物が多かった為、どうしても生産工程で雑味等が多く入ってしまい、あまり美味しいとは言えない出来の物が大半だったのです。


そのため

ジュニエーブルは薬用酒ではあったものの、爽やかで飲みやすく蒸留酒にしては味が良いと評判になり、当時の庶民の間では常飲のお酒として人気になっていったのです。





・どんな歴史?


前述ではこのお酒はジュニエーブルという名前だったと書きましたが、実はオランダ国内ではオランダ語の「イエネーフェル」という名前でも販売していました。

その後、人気が上がっていくと名前もフランス語のジュニエーブルではなく、オランダ語の『ジュネバ』になり、人々に浸透していきました。


そんな『ジュネバ』は、商人たちによって世界各地に広がって行き

1689年、オランダ総督であったウィリアム3世がイングランド(現在のイギリス)国王に即位すると共に、ジン君のサクセスストーリーも一番の佳境を迎えます。


この時の歴史の背景は非常に複雑なので要約しますが、反フランス路線だったウィリアム3世は、フランスからの蒸留酒を含む品物の輸入を全面的に禁止し、イングランド国内で生産された穀物をのみを使用した国産蒸留酒製造を推奨を開始したのです。


そんな政策と国王がオランダ出身という事も相まって、イングランドでは『ジュネバ』の人気が加速していきました。

更には元の『ジュネバ』とは異なる独自の製法によって類似品も製造されるようになり、いつしかお酒の名前もジン』と呼ばれるようになったのです。


その後、19世紀後半になると連続式蒸留器が使用されるようになり、それを用いて製造されるロンドン・ドライ・ジンが世界的な主流となり、アメリカではカクテルベースとして使われ、広く知れ渡るようになりました。



この様な歴史から


『ジンは


オランダ人が生み


イギリス人が洗練し


アメリカ人が栄光を与えた』


と言われています。




<+@Tips!>

ジンの開発者でもあるシルビウス博士ですが

そもそも職業は医学部博士であり、自分の畑である医学の世界では

同大学に化学実験室を設立したり、そこで脳の解剖・研究を行い、現在でもシルヴィウス溝やシルビウス孔と言った脳の部分名称に名前が使われてたりと結構すごい人だったりします。


(前回のブラック・ルシアンと言いお酒に関わる人すごい人多すぎじゃ…?)


そんなシルビウス博士によってジンはオランダで生まれたのだとご紹介してきましたが

実はそれより以前にも、11世紀にイタリアのサレルノ地方の修道院でジュニパーベリー等のボタニカルを使用して作られていた蒸留酒こそがジンの発祥だとする説もあります。





・ちなみに


ウィリアム3世によってジンが広まった後の18世紀前半

イギリスにおけるジンの人気は最高潮に達しており、この時代は『ジンの時代』と呼ばれています。


しかしそんなジンを巡って、女性や未成年すらも巻き込んだ様々な事件も起きていました。

その事件の内容も酷いものが多く、当時ジンは退廃の象徴でもある

Mothers Ruin (落ちぶれた母) 』という別名で呼ばれる程に問題視されていたのです。

その結果、1830年代に入ると禁酒運動も活性化していき「全国絶対禁酒教会」が発足し、プロテスタントの教会が動き出すまでの騒動になっていました。


その際に教会がアルコールの代わりにこれを飲もう!と推奨した物こそ、現在ではイギリスの代名詞にもなっている『紅茶』だったのです。


実はジンは紅茶文化の密かな立役者だったりもするんですね。




流石に世界4大スピリッツということもあって

まだまだ紹介できる事が沢山あるのですが、キリがないので今回の日報ではこの辺りに留めておこうと思います(笑)






ジンのカクテル

そんなカルーアを使用したカクテルを

今週は4種類作りました。

早速振り返っていきましょう!




今週最初にご紹介したのが

★ジントニック!



<レシピ>

【製法】

〇ビルド

【材料】

〇ジン        ・・・45ml

〇トニックウォーター ・・・適量

〇ライム       ・・・1/8カット(適量の果汁でもOK!)

【方法】

〇グラスに氷を入れ冷やす

〇ライムを絞る(果汁を入れる)

〇ジンを入れステアし、氷に当てないようトニックウォーターを注ぐ

<解説>

動画内では二人のジントニックを紹介しましたが、日報ではスタンダードなジントニックのご紹介をさせて頂きます!


【味】

一言で表すなら、”爽やか”ですね。


材料のジンとトニックウォーターは両者ともサッパリとした香りが特徴的なのですが、実はトニックウォーターもジンと同様に、元々はマラリアや暑気あたり等の予防としてインド(当時は英国植民地)に住むイギリス人達が薬として飲んでいた物が始まりだと言われています。

そんなトニックウォーターの苦みはアクセントに、キリっとした炭酸はジンの香りをふわりと引き立てて、更にライムの酸味と果実感のある香りも加わっているため、カクテルの中でも非常に飲みやすい1杯といえるでしょう。


お酒を、味だけではなく香りでも楽しむ入門用のカクテルとしても良いかもしれません。



【小話】

動画内の解説通り、多くバーテンダーの基準となっているカクテルです。

ある意味では店舗そのものの指標と言っても良いかもしれません。


私も初めて入る店では必ずジントニックを注文しますが、使用する材料から処方に至るまで本当に千差万別のジントニックがあります。


凝る人はホントに、引くくらい凝ってます(笑)

もちろん褒め言葉です。



<+@Tips!>

そんなこのカクテルは、ジンの人気を更に押し上げたカクテルでもあります。



前述でトニックウォーターとは、元々インドで飲まれていたマラリア等の予防薬だったと記述しました。

ですが、実はそれ以前にも大元の『薬』となる部分は存在しており、本来はその薬が予防や治療のために使われていたのです。


その薬とは、キナという樹木の樹皮からとれる「キニーネ」という成分です。

この成分は現代でもマラリアの特効薬として使われるほどに、効果のあるものでした。


ではそんな薬があったのなら、

どうしてトニックウォーターなんて作られたのでしょうか?



それは、この「キニーネ」という成分がめっっっちゃくちゃに苦いからなんです。

私自身は流石に飲んだ事はありませんが、当時の軍隊の将校ですら

「飲まなきゃいけないけど飲みたくない」と思う程度には苦かったようです。



その為、どうにかしてこの「キニーネ」を飲みやすくしようと、砂糖や水などを加えて改良をすることでトニックウォーターの起源となる『予防薬』を作り出したのです。


そして、ちょうど同じタイミングで人気が出ていたジンと、この『予防薬』は混ぜ合わせて飲まれる様になりました。


こうして、今に伝わるジントニックというカクテルがインドで誕生したのです。


その後は相性の良さから第二次世界大戦後には世界に広く拡散され、このカクテルはジンと共にその人気を掴んでいき、スタンダードカクテルとなったのです。


ちなみに

何故ジンとトニックウォーターを混ぜ合わせて飲むようになったのかについては、明確に触れている文献を見たことがないのでハッキリとは分かりませんが…

個人的には、酔っ払い特有の妙な思い付きで生まれたんだろうな~と思っています(笑)





次にご紹介したものは


★ジン・リッキー



<レシピ>

【製法】

〇ビルド

【材料】

〇ジン        ・・・45ml

〇プレーン・ソーダ  ・・・適量

〇ライム       ・・・1/2カット

【方法】

〇グラスにライムを絞り入れる

〇氷を入れ、ジンを注ぎ軽くステアする

〇氷に当てないようプレーン・ソーダを注ぎ、マドラーを添える


<解説>

材料はジントニックと似ているようにも見えますが、味は別物に変わります。

ライムが1/2個そのまま入っている見た目が印象的ですね。

添えたマドラーは、果実をつぶして好みの味に調節しながら飲むための物です。


【味】

コチラのカクテルも爽やかではありますが、ジントニックの爽やかさとはまた違い、キリっとした辛口の味わいになります。


ジントニックに変わりプレーン・ソーダを使用しているので砂糖系統の甘みは一切なく、よりジンとライムのストレートな香りが感じられます。

シンプルに各材料本来の風味を楽しむことができて、それでいてお酒としても軽すぎず、しっかりとカクテルとして成立している一杯です。


ちなみに、あまり強くグリグリと潰してしまいますとライムからエグみも一緒に出てしまい、むしろ飲みづらい味になってしまう場合があるので、適度な調節にとどめておく事がポイントです。



【小話】

例の如く、このカクテルも誕生や名前の由来に複数の説があります。

動画内では


19世紀の終わり頃にアメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.にあった「シューメーカー」という名前のレストランで考案され、最初に飲んだ『カーネル・ジム・リッキー』という客人の名前から付けられた。


という説をご紹介しました。


しかし、その他にもアメリカ軍の将校であるジョー・リッキーという男性が愛飲していた為、名前に因んでつけられた説があります。


いつもの通りカクテルの名前の由来とは、その真偽がわからないケースが多々あるのでフィーリングでティンときた好みの説を支持すれば良いと思います。

大事なのはロマンです。



ちなみにこの「リッキー」とは、スピリッツにライム(またはレモン)の果汁を入れてプレーンソーダでアップしたカクテルスタイルの事を指していて、今回のレシピのジンを他のスピリッツに変えればそのスピリッツの名称がついたリッキーとなります。


例:ジンの代わりにウイスキー → ウイスキーリッキー

  ジンの代わりにウォッカ → ウォッカリッキー





最後にご紹介したのは


★ホワイトレディー



<レシピ>

【製法】

○シェーク


【材料】

〇ジン        ・・・30ml

〇ホワイトキュラソー ・・・15ml

〇レモンジュース   ・・・15ml


【方法】

〇材料をシェーカーに入れ軽くステアし、氷を入れシェイクする。

〇冷えたカクテルグラスに注ぐ。



<解説>

飲みやすいロングドリンクが続いたので、ここらで度数が高いショートカクテルのご紹介です。

とはいえ酸味さえ苦手でなければ割と飲みやすいカクテルだとは思います。


【味】

前回のカルーアとは違いベースとなるお酒の度数が高いので、カルーアのような飲みやすさはありません。

しかし前途のロングドリンクでは味わえないジンの香りや風味を味わえます。

味そのものはレモンの酸味とホワイトキュラソーの甘みによって角が取れ、まろやか&爽やかに仕上がっています。

ただやはりショートカクテルなのでお酒が強くない方は注意が必要です。


カクテルとしては分量の比率を間違えたり、シェークが出来ていないとエグみのある味になってしまう事が多いです。

これの失敗作はまぁまぁ不味いので、まずはお店で飲んでみる事をお勧めします。



【小話】

さて、またまた名前の由来の話になりますが前回までとはちょっと雰囲気が変わります。

動画内では


『バーテンダーのハリー・マッケルホーンという男性がホワイトペパーミントを使い作りはじめたのが原点として、後にパリに移りベースをジンに変えた』


と、ご紹介しました。



<+@Tips!>

しかし、実はこの説に待ったをかけるバーがあります。

それはイギリスはロンドンにあるサヴォイホテル内のホテルバー「アメリカン・バー」です。


彼らは「ホワイトレディは1920年に同ホテルのバーテンダーであるハリー・クラドックが創作した」と言っているのです。


まぁ創作界隈でよくある「オリジナルは誰だ問題」ですね。

実はコレ、カクテルの世界にもあるんです。


勿論、接客業ですのでお客様に美味しく飲んでいただければなんでも良いとは思います。

・・・ですがそうは言っても、やはりアイデアをパクられては良い気がしませんよね。



それじゃあこれはどっちのアイデアなの?って事なのですが…


真実は分からない為、あくまで僕の意見ですが

多分これ、お互い知らぬまま同時期に似たようなカクテルを作っちゃったんだろうなぁと思っています。

勿論、推測ですが。


何かを作る仕事や趣味をお持ちの方なら分かるとは思うのですが、人間がコレ良い!と感じる範囲は限定的で、なおかつそこで新しい物を生み出すとなると最早カブらないわけはないですよね、という話です。

加えて当時は物を調達することや知識などを伝達することが今ほど容易には出来なかった時代です。

現代ですら似たり寄ったりになってしまうケースは多々見られるのに、当時の人が限られた材料で限られた範囲に向けて何かを作った場合、大体似たり寄ったりな物になってしまうというのは仕方ないですし、ありえない話ではないと思いませんか?


まぁコレには若干の保身も入っていますが…(笑)

でもそう言う事なんじゃないかなと僕は思っています。





まとめ

本日の内容は如何でしたか?


さすがは4大スピリッツのジンですね。

お酒そのものからカクテルに至るまで話のネタが尽きる事がありません。

むしろネタが多すぎて正直何をご紹介しようか悩みました。


今回ご紹介したカクテルはどのバーに行っても大概飲む事が出来るお酒なので、様々なバーで注文をして是非味の違いを比較して楽しんでみてください!



それではまたお会いしましょう!


Have a nice drink! See’ya!

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